轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しょうわゆうげきたい
昭和遊撃隊
平田 晋策
「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页
救いの霧
わが第一師団が約五キロの長陣地を築き『ライオン』戦車隊の侵入をまちかまえているのだ。
師団長立川中将は、体こそ小さいが、豪胆なことは天下第一の勇将である。
塹壕の中で、腕ぐみをして、鉄兜のひさしの下の眼を、じっとつぶっている。
中将の胸の中には、すごい戦略がちゃんと出来上っているのだが、無念なことに、あの不思議な力のあるフーラー毒ガスだけは、どうすることも出来ない。いくら防毒面をかぶっていても、わが兵はばたばたとたおれてしまうのだ。
これではどんな名将だって、作戦のしようがないではないか。いくら強い兵隊でも、死の毒ガスをふりかけられたら、土の人形と同じである。
ああ、『ライオン』戦車隊が、毒ガスを吹きながら、この陣地へ襲って来たら、立川中将は、どうして決戦をされるつもりなのだろうか。
敵は下総の低い山々の間をぬうて、快速力で攻めて来る。ぐずぐずしていたら、また下志津原がフーラー毒ガスをまかれて、『死の野原』になってしまわねばならぬ。
しかし、立川中将は、ちっとも騒がない。川中島に陣をとった武田信玄のようだ。まつ毛一本だって動かさない。なぜだろうか?