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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

十二月二十一日

今日はうすら寒い日曜日ね。飛行機の音がします。

十二月二十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

きょうもお軽の手紙ですが、紙を更えて。これなら恥しいほどズルズル長くはなりますまいから。

十七日のお手紙をありがとう。

隆治さんのことはやるだけやって見て全くようございました。あとから送った磁石(夜光)やウィスキーなどが十六日に届き十八日に最後の面会だったそうでした。ウィスキー磁石等紀さんに大骨を折って貰いました。ウィスキーはポケット用のビンではこわれるから大さわぎして水筒を買い(これも今はない)それに入れかえて送りました。隆治さんから十九日に電報が来て、

イロイロノゴハイリヨアリガタクウケマシタゲンキニシユツパツ

とありそれを見たら涙が浮びました。有難くうけと電文をかいているところにも、あの人の気質がよく出て居ります。生かしてかえしたいと切望します 実に それを願います。

ウィスキーは内国産でも現在は薬用に足りるだけ純質なのが少くて、散々人手を経て一ビン買い小売りをしないというので大枚を投じ、うちにあると、無駄にのむ奴がいるから紀さんにあずけてあります。