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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
そうです。反射神経が、そう云う風に生きつづけ、今のように、精神の作用がある程度まで、戻ると、植物的神経などと云うものが、蒙った損害からいつ迄も恢復出来ないで居ると云うような生理のいきさつは、とても自分でも驚きます。
昨日、みんなでハァハァと笑ったことですが、あなたは愛妻の身の上にそんなとんでもないことが起ると云う虫の知らせをお感じになりましたか? 昔小さかった時「虫が泣かすんじゃあ」と泣いた人は、成長して、虫は余り敏感に作用しなくなったかどうかと云うことを話して、大笑いしました。私の方はあんまり急で、云ってみれば、虫を派遣する暇が無かったのですからあしからず。お化けになる支度をするひまさえありませんでした。
二十八日付のお手紙、これは結局、国男さんに読んでもらいましたが、字がいくらか大きかったものだから、何だかよめそうな気がして、おおいに目玉を動かしました。
宛名を力作と評価して下さったことは、うれしいと思います。全く力作で、当分もうあれはくり返せません。午後中、よく目が見えなくなったから。
本に就ては、葉書で申上げました。小野寺十内の和歌は初めて知りました。