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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

十月二十七日

これからの毛布洗濯はかわかないし、きっと一ヵ月では寄越さないでしょう。寒い目を御覧になるでしょう。若しどうでもしなければならなければ、二枚続き一枚だけはいつかの虫食いを入れて下げて頂き、やりくりつくかも知れません。全くこれからの毛布洗いは苦労の種ね。

何しろ十六日からのお手紙の用事だからもうこれで一杯。十七日のことはどうしても別刷にしなければならない程珍らしい一日でしたから、ここで一休みしておやつをたべて、それから又ペンさんを酷使致しましょう。

十月二十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕

十月二十七日

さて愈十七日の物語り。

あの前後お休みが続いたので、父子が沓掛へ行こうと言っていたらば寒いのが厭というようなことで十七日になりました。あの日は雨でした。相当な降りで。これは私達の十七日にしては珍らしいことでした。食堂へ行ってみたら早朝にかかわらず、佐藤先生が一仕事終ったという顔でお茶をのんでいられます。「まあどうしたの?」と其処にいる御夫婦を見くらべたら、泰子が夜半からひきつけて大さわぎをしているのに、林町のかかりつけの小児科医は、医師会のピクニックで皆出払ってしまっていて、私の先生に電話したら子供は診ないということで、そこいらの医者を紹介され、その人が取りあえず注射して、佐藤先生にわざわざ