轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
瑠璃子夫人はどんなに喜ばれるでしょう」
「イヤ、それはわたしも願う所です。併し、まだ旅の疲れもあり、永年の異国住いで、貴婦人の前に出る用意も出来て居りませんから、訪問は二三日あとに致しましょう。併し、その前に、川村さん、あなたに一つご厄介を願い度いことがありますが、承知して下さるでしょうか」
「何なりとも……」
「イヤ、別に難しいことではありません。わたしは実は、あちらで買い溜めた少しばかりの宝石を、大牟田へ土産として持ち帰ったのですが、当人が死んだとあれば、それを、さし当り奥さんへのお土産にしたいのです。大牟田が生きていたところで、宝石などは、さしずめ奥さんの装身具となる訳ですからね。ところで、ご無心というのは、その宝石を、あなたから夫人に届けて頂き度いのですが、どんなものでしょうか」
「オオ、そんな御用なら、喜んでさせて頂きますよ。宝石好きな瑠璃子さんの笑顔を見る役目ですもの、誰だってこんなご用を辞退する者はありませんよ」
川村の奴、宝石と聞くと目を細くして、ホクホクものだ。瑠璃子への贈り物とあれば、恋人の彼にとって、我が財産がふえるも同然なのだから、ホクホクするのは無理もない。