轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

しかし、時やんは一人息子であり、大川家を継いで、生涯をこの部落で終らねばならぬ。時やん自身も、引っこみ思案のところがあって、村を出る積極的な気持はない。彼の最後の理想は、柿ノ坂の郵便局長になることにあるらしい。

(そんなのは、いやだ)

と、マンは、思う。

表で、足音がした。牛小屋の前に来てとまった。

「マン坊けえ?」

父善助の声だった。

「はい」

と答えて、あわてて、兄林助の手紙の方を、ふところに隠した。

小屋の戸を開けた。マンより先に、犬が飛びだした。背に薪を負い、手に鎌を持った長身の父が立っている。

「なんじゃい、戸をしめこんでしもうて……」

「お父っあん、これ」

マンは、専売局からの封筒をわたした。ランプの明かりでそれを読む、善助の日やけした顔に、みるみる、狂喜にちかい表情が浮かびあがって来た。

「やンれ、よかったのう。万歳、万歳」

そういって、両手で、万歳の恰好をし、どんと、娘の肩をたたいた。

「おマン、お前も、うれしいじゃろうのう?」

「はい」

そう答えなければ、しかたがなかった。

囲炉裏端で、一家、にぎやかな夕食がはじまった。善助、イワ、長兄倉助、その嫁ミキ、その子の三歳になる松男、弟牛三、それに、マンの七人。