轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
この年の冬は、北九州は、雪が深かった。その大雪のうちに、新しい年を迎えると、洞海湾は騒然として来て、石炭積込みの聯合組にも、革命が起った。
降り積んだ雪のうえに、さらに、牡丹雪が霏々として降りやまぬ或る日、金五郎は、大庭春吉の屋敷に呼ばれた。
「玉井、折り入っての頼みが、あるんじゃが……」
そういう大庭春吉の言葉は、はじめから、意味ありげだった。
金五郎も、緊張した表情になって、大親方の顔を仰いだ。
「承ります」
「どうしても、お前に決心をして貰わねばならんことが出来た。お前を男と見こんで、頼みたい」
「どんなことでしょう?」
「お前に、永田組の跡を継いで貰いたいんじゃ」
金五郎は、びっくりして、すぐには、返事が出なかった。低く、頭をたれた。唇を噛み、ぐっと、唾をのみこんでから、呟くように、
「それは、私には出来ません」
と、答えた。
「お前が、そういうにちがいないということは、わしにも、わかっとった。親方思いのお前としては、当然のことじゃ。じゃが、玉井、大事なのは、ここぞ。ようく、噛みわけて考えなおしてくれ」
腕組みした大庭春吉は、ひと膝、乗りだした。一段と、語調を強めた。