轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
手拭で鉢巻をして、着物の両肌を脱いだ。満艦飾の提灯の照明の中に、たくましい金五郎の白い肌と、青々とした龍の彫青とが照らし出された。
金五郎は、新之助から借りて来た二本の日本刀を抜き身にして、盥の水に浸けた。チャポ、チャポと、洗った。そして、ときどき、表の夜の暗黒を、ぎょろりとした眼玉をむいて、のぞくように、睨む。
静まりかえった深夜の空気を、刀を洗う水の音だけが、かすかに、ゆるがせる。金五郎は、二本の日本刀を、交互に、盥の中で、ころがしながら、ときどき、水からあげる。雫のたれている冴えかえった刃を、裏表にかえして、しみじみと、眺める。刀の肌に、周囲の提灯が映って、刀身の中で光のゆらめきが、焔の乱舞のようだ。
(美しいなあ)
と、思う。
昔から、刀剣が好きであったが、欲しい刀を買う余裕はなかった。やっと、養子の交換条件で、蜜柑を売ったとき、道後の湯町で、前から眼をつけていた、助広の小刀を手に入れることが出来た。故郷を出奔するとき、それを大事にたずさえて出て、今日まで愛蔵している。しかし、金五郎が刀を愛するのは、その美しい肌を見ていると、乱れた心も澄んで来るからであって、それを殺人の道具と考えたことは、一度もなかった。