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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「六ゾロの源」は、警察官の訊問にはっきりと答えた。

「オヤジを襲った人数が、何人であったか、誰であったか、あの咄嗟の場合ではわかりませんでした。しかし、角助が大将になって、そいつ等を率いて来たことは、太鼓判を押します。そして、その角助に、オヤジを殺すように、命令を降したのが、「ドテラ婆」にちがいないことも、もう一廻り、大きい太鼓判を押します。死人に口がないからというて、「ドテラ婆」にいいのがれはさせません。あの鬼婆とわたしとを逢わせて下さい」

源十は、泣いて、「ドテラ婆」との対決を懇請したけれども、それは許されなかった。

「困った事件が起ったわい」

と、警察署長も首をひねり、ほとほと、思案に暮れていたということである。

証拠もないのに、単なる噂や、子分たちの申し立てによって、島村ギンを逮捕することは出来ない。ことに、ギンと友田喜造とは密接な関係があり、友田には、「吉田天皇」と称せられる、吉田磯吉という強力な後楯がある。うっかりギンに疑いをかけた行動をとれば、どんなうるさい政治問題が起らぬともかぎらないのだった。しかし、「オヤジを殺したのは、「ドテラ婆」