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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「玉井旦さん、井上旦さん」光三が、変に真剣な顔つきになって、「こんなこと、あたしなんかがいわんでもええことですけんど、今度は、民政党では、あなた方二人を、どうでもこうでも落す、とか、いうて……」
「ワッハッハッ」原田が、テーブルをくつがえすはげしさで、笑いだした。「ゴロゴロを落せ――か。そげんこた、初めからわかっちょる。ばって、この二人が落ちるもんか」
窓の外は、雨になった。
部厚で、血のたれる柔いビフテキを、不器用な手つきで切りながら、
「まるで、梅雨みたいじゃなあ」
と、まだ、天気を気にして、原田雲井がいう。
ビール飲んで、ぽおッと、桜色になっている光三が、ふと思いだしたように、
「先刻、みなさんにお逢いするちょっと前、お蛭子さんの鳥居のところで、栗田銀五親分から、大層、嚇かされましたのよ」
「なんちゅうて?」
「玉井旦さん、栗田さんは、どうも、旦那と、「チーハー」の島崎勇次親分とが、ぐるにちがわん、ちゅうて、かんぐっとったようですわ」
「これも、じき、敵と味方とを色分けする口じゃのう」
と、原田が笑った。
「玉井君、島崎勇次というのは、どういう男かね?」