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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

その懲罰委員会が、また、喧嘩になって、電燈を消したりなんかして、大暴れじゃ。はじめから醜態さらけだしの連続じゃったが、出たらめ国会、有終の美を成したわけたい。吉田磯吉親分を売りださせたようなもんじゃ」

「吉田親分は若松に帰って来とるとか、井上君が話しよったが、……」

「どげんしてでも、十七人の候補者を、全員当選させるごと、御大将みずから采配を振るらしか。警察は自分の部下と思うちょるし、買収、饗応、脅喝、戸別訪問、自由自在たい。玉井さん、楽観は許されんばい。ゴロゴロを落せ――ちゅうて、ああたと井上君とを目標にしとるけん、油断は禁物。わたしの探ったところでは、今度の敵のやり方は徹底しとるごとある」

「例えば?……」

「区長、衛生組長、小組長が、ほとんど民政党、こいつを手足にして動かせば強い。小組長が自分の組員を投票につれて行き、投票した名を、吸取り紙にうつさせて、後で調べるようなことを考えちょる。一票、大体、五十銭から二円五十銭という相場ちゅうが、投票前日には、急所を狙うて、五円くらいの実弾射撃をするらしか。そんなときゃ、警察では、署長が署員を一人のこらず召集して、三時間か四時間か、選挙訓示をあたえる。