轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「ここは、どこだね?」

と、きいた。

「お目ざめになったのね。「丸金」よ」

「「丸金」?」

あらためて、勝則は、部屋中を見まわした。仰向けに寝たまま眺めたので、部屋の感じがちがって見えたのであるが、いつも来なれた「丸金」の離れの四畳半にちがいなかった。三ヶ月ほど前、光丸と逢い、別れる決心をした、あの部屋だ。

(どうして、こんなところに来たのか?)

勝則は、気味が悪くなった。

気がつくと、自分は祭衣裳のまま、畳のうえに転がっている。まだ、白い鉢巻もしめている。

着物は喧嘩のとき、引き裂かれ、泥だらけになったが、そのむざんな着物を、さらに、だらしなく、はだけている。枕元に、洗面器と水とが置いてあるのは、嘔いたものらしい。身体に静かな風が当るので、妙に思って見ると、光丸が団扇を持って、あおいでいるのだった。

光丸は、大きな葡萄の葉と実のついた浴衣を着て、勝則の腹のあたりに、きちんと坐っている。頭は洗い髪にしていた。うす明かりのなかに、顔は青ざめて、やつれて見えたが、ほつれ毛のかかっているその美しい顔には、いいようもない、晴れ晴れとしたものが、隠しようもなく、浮かび出ていた。