轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まと

魔都

久生 十蘭

「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页

青空文庫

探偵小説では一人の探偵が、竈の灰の中まで覗き廻ってあらゆる功名を独占する。しかし、現実の社会ではそんなことはしないのが普通である。

真名古は「すず本」の実地検証を軽視したわけではない。現に四銃士のうちのもっとも敏腕な者を抜目なくここによこして充分に検証させている。四銃士の調査したところも、真名古が調査した結果と一向変りはなかった。庭先の土の器質にも玄関の出入りの条件にも人が抜け出したという証跡を挙げることは出来なかった。のみならず、四銃士氏は巧妙な訊問法によって六人の「カアマス・ショオ」の連中を一人ずつ取調べ、おのおの同衾者が自分の傍から抜け出した事実は絶対にないという口供を得ている。検証と訊問とともに少しも抜かりはなかったのである。

では二階のこの通路はどうかといえば、これは脱出の公算の中へは入らない。なぜかといえば、考えて御覧なさい、われわれの日本家屋で、しかもこの稠密な東京市内では絶対に抜け出せない家屋などは一軒もないからである。日本の家屋は元来そんなふうに解放的な構造になっていることを公算の中に計算しなかったのは銃士の過失ではないのである。