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わかむらさき
わか紫
泉 鏡花
「新小説 第十年第一卷」1905(明治38)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,708 字 · 75 页
おかしくッてねえ。だって鳥の羽みたいな五色のを被て、おとっさんは、種を持って来た神使鳥のようじゃなくッて。
それから今度、おつかいに持って行く、私だって……何なのよ。
過日ッからお精進をしたんです。今朝は、髪を洗って、あけ方お湯を貰ったんです。
すっかり身体を清めて来ました。」
さらぬだにこの風采を、まして、世に、かくまで清き媛やある。
旅客は恍惚、引入れらるる状であった。
「それを、それを、あの、だって、大事にして見るんなら、まだ何ですけれども、賭博の目に、よもうッていうんですもの。
私、殺されても見せないんだわ。」
しばらくして面正しゅう。
「もっともだ、至極その筈だ、成程。
昨日通りがかりに、小田原の鎮守の社へ、参詣をして来たが、御城の石垣の白いのが、鶴の巣籠のように見える。森として、神寂びた森の中の、小さな鳥居に階子をかけて、がさり、かさこそと春の支度だろう。輪飾を掛けていたっけ。
神主のその顔が、大な猿のように見えて、水干烏帽子を着ていたのが、何となく神々しかった。
誠は神に通ずとやらいうから、大方神様の方でも、姉さん、お前の行くのを待っておいでなさるんだろう。