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したやそうわ

下谷叢話

永井 荷風

自序「下谷叢話」春陽堂、1926(大正15)年3月20日<br>第一~第四「女性 第五巻第二号」プラトン社、1924(大正13)年2月1日<br>第五~第十一「女性 第五巻第三号」プラトン社、1924(大正13)年3月1日<br>第十二~第十五「女性 第五巻第四号」プラトン社、1924(大正13)年4月1日<br>第十六~第二十二「女性 第五巻第五号」プラトン社、1924(大正13)年5月1日<br>第二十三~第二十九「女性 第五巻第六号」プラトン社、1924(大正13)年6月1日<br>第三十~第三十五「女性 第六巻第一号」プラトン社、1924(大正13)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,971 字 · 246 页

青空文庫

六閑堂賓約

一、こゝに来遊するは一日世塵を※脱して園林の幽趣をめづるなれば、たゞ風月を談じ詩歌を品するを専らとし時事を論議し人物を臧否するの類は無用たるべし。まして鄭狂淫褻の談はいふまでもなかるべし

一、来賓に希ふ所は興寄之古調、唐律あるいは国風、各その長所に従ひ一、二首帋片に留めらるべし、徒に風景に孤美して隻字もなく帰らるゝことあるべからず、但し俳句狂歌の類みだりに壁上に疥するは願ふ所にあらず

一、酒は釣詩鈎の意をもて三五盞用ゆるは可なり、多とも七盞を過ぐべからず、この数を越る飲徒は荘中に入るを許さず

一、詩歌の小集あらん時吟詠ならざるものは、金谷の罰を用ゆる時は※厭ふべし、姑く月川七椀の倍数を茶に換ふべし

一、物音は古楽器の外を禁ず、流俗に用ゆる所の器を携来り奏するものあらば饒舌の鶯速に飛振すべし、しかあらん後はその人を謝絶して再び到る事を許さず

一、射騎銃鉋の場あり来人の演習その心に任すべし、但し官禁の域たれば鳥とる事を許さじ、いはんや魚鳥の人に親しむ会心の境なるをや

一、落花墜葉の外すべて狼藉を禁ず、来遊騒客さあらんといふにはあらず、童僕には戒勅のとゞかぬ事主人も常にあれば他も推はかり思ふなり、大なる花枝を折りまた竹萌木萌を穿ち去の類戒め給はるべし