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したやそうわ

下谷叢話

永井 荷風

自序「下谷叢話」春陽堂、1926(大正15)年3月20日<br>第一~第四「女性 第五巻第二号」プラトン社、1924(大正13)年2月1日<br>第五~第十一「女性 第五巻第三号」プラトン社、1924(大正13)年3月1日<br>第十二~第十五「女性 第五巻第四号」プラトン社、1924(大正13)年4月1日<br>第十六~第二十二「女性 第五巻第五号」プラトン社、1924(大正13)年5月1日<br>第二十三~第二十九「女性 第五巻第六号」プラトン社、1924(大正13)年6月1日<br>第三十~第三十五「女性 第六巻第一号」プラトン社、1924(大正13)年7月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 122,971 字 · 246 页

青空文庫

第十六

弘経寺という寺は結城と飯沼との両処にあって倶に浄土宗関東十八檀林に列せられている。飯沼の弘経寺は元禄十三年祐天上人が住職の時累の怨霊を化脱させたというので世に知られている。梅痴上人が飯沼に移るに当って平生その知遇を受けていた詩人は宮沢雲山、横山湖山、大沼枕山を始めいずれも祝賀の詩を賦した。ここには鷲津毅堂の七律のみを録する。「徳望既高霄漢間。緋裟椹服列崇班。思量権実履中道。抖※(「てへん+數」、第3水準1-85-5)有無帰一関。浄業長修小蓮社。法輪又転寿亀山。丹梯自此開仙路。玉歩重重便可攀。」〔徳望既ニ高シ霄漢ノ間/緋裟椹服崇班ニ列ス/権実ヲ思量シテ中道ヲ履ミ/有無ヲ抖※(「てへん+數」、第3水準1-85-5)シテ一関ニ帰ス/浄業長ク修ム小蓮社/法輪又転ズ寿亀山/丹梯此自リ仙路ヲ開キ/玉歩重重便チ攀ヅ可シ〕

第十六

弘化四年丁未の年枕山は三十歳になった。枕山が妻を迎えたのは『松塘詩鈔』について按ずるに弘化三年の冬にあらざればこの年四年の春であろう。新婦は和歌を善くしたらしい。鈴木松塘が祝賀の絶句に、「絶世才華絶世姿。当筵新咏国風詩。」〔絶世ノ才華絶世ノ姿/筵ニ当リテ新タニ咏ズ国風ノ詩〕と言ってある。