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にっき
日記
宮本 百合子
09 一九二三年(大正十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页
別れ、彼が今までの生活によって得たものを潜精力として一層自己の道を進んで呉れるなら、自分は悦んで別れを告げよう。然し、彼は、学校も啓明会もやめて仕舞おうと云う。自分にはこれが苦痛だ。些も彼の道を阻んみたくはない。
◎ Aも、自分で意識して私の道のさまたげとなろうとは思って居ない。よくしてやり度い。安心がさせたい。その心は有難く思う。が、一つ私に何よりその道となるもの=僕のよいと思う方法によって=。
◎ Aがやめて国にかえり、兄の脛かじりとなる――独立的生活をすてる――私はいやでも考えざるを得ない。
◎ 然し、此、お前のおかげ――云いかえればお前の為――を理由として堕落(或意味の)に安ぜられ、よし、とすれば、公平に見、Aは、それと違った種類の、同程度の無反省にも平然として居られると云うことになるのではないか。
そうだとすれば、私共の生活が、私に堪らないほど不自然なものとなっても、彼は堪えられる、と云うことになる。
◎ Aの堪える、自覚した美徳は、却って彼の悪徳となり、ひとと自分を窒息させる。
堕落に堪え得る! 無感覚と色わけが出来ないでは大変ではないか。