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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
何しろ、この十年の間には、あれほど心臓を悪くして、やっとなおしたかと思うと、いつかの夏のように、微熱を出したり、目を悪くしたりして、考えてみれば、夏のたびにいくらかずつ健康が低下して来ていた処に、ガッタリと根本から打撃を受けましたから、何やかやと、妙な故障が続発するわけでしょう。気長な養生は只一つの恢復の道です。注射は「B」のほかに「C」も入っているそうです。その他、神経の栄養のために燐剤を飲んでいます。「レバア」は勿論。
この燐剤は、合っているらしくて、至って抵抗力の無い神経が疲れて、少しいらだって来たような時、スエコに素早く一服盛られて、案外の効果を示します。そう云っても、これは決して、眠り薬では有りませんから、御安心下さい。
二十六日付のお手紙の中で、東洋経済新報の件は、当時予約を受付けず、毎月買って入れていたので、継続の分は有りません。ベリンスキイは来ていませんでした。お金は月曜にお送りします。
目の検査のことは、もっと時がたって、体全体の栄養が恢復して、出来るだけ均衡を取戻してからでないと、目だけ切り離してみにくいものなのだそうです。