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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
オリザビトンがこれから二ヵ月もあるというのは心強い話で、その内又ペンさんに三共あたりへ行ってみつけてもらってみましょう。あとから言った薬もみな内国製ですから、そう急になくなるということはないでしょうが、オリザビトンがなくなるとすればあやしいものですね。ただ後のはBとCと独立ですから、相当続くだろうと思いますが。調べておきましょう。多賀ちゃんのことは、また勤めたということは知りませんでした。この間は家にいて退屈だという手紙をもらい、こちらからは広島の逓信病院長を紹介してもらい、調べる要点も言ってやっておそらく勤めるのと行き違いについたのではないでしょうか。辞めるのにあんなに骨を折って口論までして辞したというのに、私にはおしい気が致します。気分の動揺していることも察しられます。そういう気分だとあの単調な国府津で、単調な私との生活を穏やかな気分でして行かれるとは思えませんね。多賀ちゃんが目白にいた時代は私の大忙しの時代で、ああいう活気はこの半盲さんには望めませんから。近い内に様子を聞いてやりましょう。夜がうっすらと寒くなって、去年十七日に皆んなが菊の花を胸につけて遊んだ晩を思い起します。