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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

『微生物を追う人々』はまだ読んでもらいませんが、そのことは寿江子も言っていました、ああいう学者がコッホになって始めて学者らしい顔付になって、先駆者達はなかなか冒険者風の相貌をもっているというようなことも言っていました、先駆者達は世間学にも相当長けていたらしい風ですね、『娘への手紙』は上巻でも、おっしゃっている通りで、それは著者に資料がなかったというのとは違った原因で、あんなにポツンと切れたような章をなしてしまったのでしょうと思っていました。下巻も、恐らく理由は同じではないでしょうか。

『世界大戦』は二三日内ついでの時みてもらいます。

藤山のおばあさんは玉子と牛蒡、ジャガイモ等をもってきてくれました、重いものをこの頃の込む汽車で大変でしたから、咲枝が半衿をお礼に送ると言って居ります、もう買ってあるけれど、例によって、サイドボードの上にのっかって居ます、咲枝の体も私の病気が却って幸せなきっかけとなってBの注射や心臓、腎臓の為に注射をしたりした為に、大変によくなって全身のむくみも取れ、やっとこれで普通のお産が出来そうというところまでこぎつけました。聖路加で始めいい加減なみかたをされていて、私がどうも気にくわないので水上先生に話している内に国男さんも厭がっていることがわかり、小鷹さんという曙町のお医者に紹介され、