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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

第一今のところではまだとても汽車には乗れませんし。こちらの家へ何とかして、もう少し人手があるようにして、私が呑気に二階にいられるようにすれば何とかやれるでしょう。十二日朝、寿江子は沓掛へ出かけ、家中は少しホッとしています。御本人もあちらでここの空気はいいと言っているでしょう。十六日、十七、十八日は休み続きなので、国男さんは太郎を連れ、若しかしたらば沓掛へ行きそうです。そしたら今年は休養祝日というわけで、十七日は今にも身のこぼれそうなああちゃんと二人で、のうのうとした小さい祝宴をはるつもりですが、今夜の様子ではどうなることやら、国ちゃんに何か野心が出来たらしい顔付です。

今月一杯には冬物がすっかり入るようにしたいと思います。大事な下着類はそちら、ここ、もう一ところ、と位に分けて灰にならない用心をしたいと思います。結局今は綿や木綿、毛糸が財産で、あなたのものだけはなくしたくないと思います。

「祝い日」その他は、全く私の心にある一日がきっかけとなって出来たものですが、この頃のように、ものが書けず読めずにいると、次々にわく感情が自分にとって、一番宙で覚えやすい形をとり、自然とああいうものになります。