轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
日頃美男であった彼も、邪念の為にすっかり相好が変り、まるでこの世の人とも思われぬ有様で、ポケットの短刀を砕けよとばかり握りしめ、ガクガク震えながら待っていると、取次の志村が引返して来て、
「どうかこちらへ」
と物柔かに案内した。
川村は無言のままそのあとに従う。二部屋三部屋通り過ぎて、奥座敷の縁側。志村はそこの靴脱ぎ石に庭下駄を揃えて、
「あちらでございます」
と真暗な庭を指さす。そこには、闇の中にほの白く、二階程の高さのある、四角な赤煉瓦の建物が、ニョッキリとそびえていた。
「あちらとは?」
川村は妙な顔をして聞返す。
「主人は近頃出来上りましたお堂の中にお待ち申して居ります。何かあなた様にお見せするものがあります相で」
アア分った。いつか黄金仏の話をしていたが、ではあれがそのお堂なのだな。と、川村は考えたに違いない。彼は場所がどこであろうと、兎に角わしをつかまえて、恨みをはらしたい一心だから、別に疑うこともなく、志村のあとに従って、庭に降りた。
扉を開いて建物の中に這入って見ると、中央に一坪程の、やっぱり赤煉瓦でかためた内陣があって、そのまわりを一間幅の薄暗い廊下が囲んでいる。