轻松读懂日语经典作品
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はくはつき
白髪鬼
江戸川 乱歩
「冨士」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年4月~1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,046 字 · 224 页
つまり大きな桝の中へ、小さな桝を入れこにした様な構造なのだ。
わしが隠れていた機械室というのは、丁度その内陣の裏側に当る廊下の一部の、ごく狭い箇所にあるのだが、無論川村は気が附かぬ。
内陣の正面には、赤煉瓦の壁に鼠色に塗った鉄の扉がついている。志村はそれを開いて、
「主人はこの中でございます」
と川村を招じ入れた。
「オイ、君、誰もいないじゃないか。里見さん、里見さんはどこにいるのだ」
川村がびっくりして叫び出した時には、已に入口の扉は外からピシャリと閉められ、カチカチと鍵をかける音さえ聞えた。彼はまんまと、一坪程の煉瓦の壁の中へとじこめられてしまったのだ。
併し、川村にして見れば、彼の方にこそ恨みはあれ、里見重之と信じ切っているわしの為に、彼がこんな目に合わされる道理はない訳だから、まだ何の事とも分らず、
「オイ、どうしたんだ。早く里見さんを呼んでくれ給え」
と怒鳴るばかりだ。
さて、川村の目に映った内陣の有様はと云うと、これは又意外にも、一向お堂らしくはなかった。
内側は全部コンクリートで祭壇も何もなく、ただその真中に、黒い漆塗りの小さな箱がチョコンと置いてあるばかり、壁も天井も一面の平な鼠色で、彫刻もなければ、模様も色彩もなく、まるで空っぽの物置きの中へ這入った様な、殺風景極まる感じであった。