轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

親方がしゃんとしとりゃ、おれたちだって、こんな箱の中に、一週間も、閉じこめられんで、すんじょる」

「ま、ええわ。おれにすこし考えがあるけに、一緒に彦島に行こう」

「うん、金さんの行くところなら、どこでも行く」

いずれは、二人で、支那大陸に渡ろう、という約束をした。

或る日、また、マンが、小窓の外から、笑いながら、

「はい、新聞」

見ると、土地の赤新聞に、大きな見出しで、でかでかと、「コレラの海の中で、すこしも感染しなかった、不思議な二人の不死身男」、そして、金五郎と新之助との写真が、ならべてかかげられてある。

「生まれてはじめて、新聞ちゅうもんに、載ったのう」

二人のしがない沖仲仕は、妙に、くすぐったくてならなかった。

一歩も出られぬ箱の中が、やはり、どうにも寂しくてたまらなくなり、二人は、酒盛をしては、手をたたいて、唄を歌ったりした。

八日目に、やっと釈放された。金五郎は、その足で、谷口林助の家を訪れて行った。マンは裏庭にいると教えられて、そちらに、廻った。垣をあけると、菊の香が鼻を打った。

マンは、柿の木の根元にしゃがみこんで、泣いている。新しい土盛りの上に、カマボコ板でこしらえた、小さな二つの墓標がならび、線香の細い煙がながれている。