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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

……マン、旅から帰りに、大庭親分のところに、お詫びの挨拶に寄って、パナマ丸の荷役の話、聞いた。親分さんは、おれがこの仕事に間に合うたことを、大層よろこんでくれて、頼むぞ、と、おれの手をとっていいなさった。おれも、ええときに帰って来たと思うて、うれしかった。この仕事は、永田組、……いや、聯合組全体の浮沈にかかわる大事な荷役じゃけ、どんなことがあっても、やり遂げにゃならん。旅から帰ってみりゃ、お前が間男しとって、腸は煮えくりかえるごとあるが、明日のパナマ丸を失敗っては、おれの男が立たん。話は全部、パナマ丸の後にする。……マン、ええな?」

マンは、夫の顔を鋭く見つめたまま、無言で、大きく、ひとつ、うなずいた。そのとき、はじめて、瞬きをした。

金五郎は、吊るされたランプを見あげながら、独りごとのように、「明日の仕事は、ただではおさまるまい。「ドテラ婆」の一味が、邪魔に入るかも知れんちゅうから、当りまえではいかん。「ドテラ婆」の背後には、友田喜造が居る。友田は、腕力で、この港の仕事を、端から、自分のものにしようと企らんどる。おまけに、おれの留守中に、角助がケツ割って、「ドテラ婆」