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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

……田舎には黒石という、おれが養子に行った先の、うるさい奴が居るけんど、……まあ、どうにかなろうたい。……な、マン、道後と松山とは続いとるけ、ゆっくり、二人で、温泉に、でも入ろうや」

金五郎は、楽しそうな顔つきだった。

「おれたちに、子供が出来る。おれが、親父になって、お前がお袋になる――なんか、変じゃなあ……」

「変なこと、あらせんわ」

「変じゃよ、森の新公が、三つになる女の子の親父なんて、どうも、変で仕方がないよ。……おれたちの、男か知らん? 女か知らん?」

「どっちが、ええの?」

「男じゃなあ」

「あたし、女が欲しいわ。一姫二太郎、というて、最初は女の方が、ええのよ。母親が助かるけ……」

「そんなに、都合ように、出来るかどうか、わかるもんか。おれは、やっぱり、男じゃ。そして、立派な男に仕上げて、玉井組の跡を継がせるんじゃ。そのころは、もっと、玉井組も大きゅうなっとるに違わんし、時代も変って、こんな野蛮な若松でも、無うなっとるじゃろう。今のような、暴力団のはびこっちょる若松なら、こっちまで、暴力団かぶれしてしまう。でも、仕方がない。覚悟を定めて、若松に移ったんじゃけ、あくまで、この地で、やりあげるんじゃ。