轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

切れ長の細い眼は、なにかの愁いをふくんでいるように、青味を帯びている。

梅にも春の

色そえて

若水汲みか

車井戸……

踊りながら、お京は、ときどき、金五郎の方を見て、にこッと、笑う。金五郎が、呆気にとられた顔つきで、ぽかんと、口をあけて、自分を凝視しているのが、おかしくて仕方がない。そして、お京は、自分の美しさを誇示するように、さらに、あでやかに舞いながら、金五郎へ、モールス信号のような、ながしめの電波を送った。

「久しぶりでしたのね。博多以来、お逢いしたかったのよ。まだ、大切な用件があったのに、あなたは逃げておしまいになった。でも、あたしはあきらめません。今夜、あとで、逢って下さいね。きっとよ」

お京の眼の暗号は、はっきりと、金五郎へ、そのことを伝えていた。

しかし、踊りながら、お京の頭に、奇妙なものが、ちらついていた。昼間、「女髪結い処」の看板のうえを、しきりと戯れながら飛んでいた二匹の蝶、今にも、蜘蛛の巣にかかりそうなので、危いと思って、はらはらした。そのときは、ただ、蝶の危険が気にかかっただけであったのに、今、踊っている最中のお京の胸に、黄色い蝶の方が金五郎、白い蝶の方が自分であるような幻影が、浮かんでいるのだった。