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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
すこし声を大きくして、詰めよった。睨むようにした。
正直のところ、金五郎は、心内、すこし狼狽していた。まずいことになった、と思う。こういう談判の仕方になっては、負けだ。いつもの※の手をよく知っているので、その作戦を練って来たのに、まるで、様子がちがう。こちらが、4とはじけば、※は、1と来る。そこを揉みあって、3に定まれば、大成功のつもりであった。
ところが、普段は、4と置いた玉を、抜く手を見せぬ勢で、パチッと、三つ弾きかえす※が、沈黙したまま、全然、反応を示さない。のみならず、妙に意味ありげな微笑を浮かべている。
金五郎は、すこし、気味が悪くなった。そうなると、一層、いらいらして来て、追っかけられるように、「※さん、男らしく、定めましょう」と、叫び声になった。
「まあ、まあ」と、やっと、相手は口を開いた。
「金さん、あわてることはないぞな」
「あわてはせんけれど、愚図々々するのも、感心しませんでなあ」
「金さん」※は、落ちつきはらって、「どがいにしても、それだけの金が、お要りるかな?」
「要ります」
「じゃが、今は、もう、そんな値段は無茶ぞな」
「いつでも無茶なのは、※さんじゃないですか。