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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「どうしたもんかなあ?」

夫婦は、ほとほと、途方に暮れた。なんにも知らずに、可愛い眼をぱちくりさせている赤ン坊を眺めては、夫婦顔見あわせ、来る日ごとに、ため息をついた。

永田杢次が見るに見かねて、

「わしに委せときなさい、こんなときくらい、腑抜けの呆作のわしでも、役に立つかも知れん。わしが手続をして来てあげよう。なに、気の毒がることはない。道後の入湯、それに、宮島詰りをすると思やええ」

そういって、わざわざ、四国と広島とに行ってくれた。

「玉井組」の仕事は、順調に捗っていた。松川源十が小倉監獄に収容された後、松本重雄がボーシンとなって、金五郎を助けた。金五郎も、十二月には、聯合組事務所に顔を出し、ときには、現場の見まわりも出来るようになっていた。

歳晩近くなって、永田杢次はがっかりした顔で、帰って来た。

「おれはなにやっても詰らんのう。戸籍取りも出来んが。いやはや」

苦笑して、頭をかいた。

年が、明けた。

元日、勝則に、新調の晴衣を着せ、夫婦揃って、氏神の白山神社に宮詣りをした。

赤ン坊は色が白く、近所の人たちが、

「ゴンゾの子に、よう、こげな可愛い子が出来たもんじゃ。