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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
この二人の強い同志的結合は、街の人々によって、美しいものに認められていたが、反対派の方からは、
「安五郎と金五郎で、五郎五郎、ゴロゴロ鳴りだすとうるさいぞ」と、煙たがられているのであった。
金五郎も坐って、巻煙草を吸った。
「玉井君、友田喜造が、駅で、また、なにかうるさいことを、いってたようだが……?」
「今夜、懇談したいことがあるというんじゃが、なに、友田のいうことは、聞かんでもわかっとる」
「あんたも、やりにくいなあ。立場が、直接、石炭の関係だもんだから……」
「いよいよ、土壇場に来たのかも知れん。長い敵じゃったが、今度の問題では、最後の対決になるかも知れんと思うとる。……わたしは、一度死んだ男、……もう一ぺん、死んでみるのも、面白い」
金五郎は、そんなことをいって、闊達に笑ったが、安五郎は不吉な予感で、笑うどころではなかった。
女中が、家族風呂があきましたから、と、告げに来た。
賑やかに談笑の声が聞える共同浴場の前を抜けて行くと、ひっそりした家族風呂があった。誰もいない。
金五郎は、浴室に入って、裸になった。湯槽に浸ると、よい気持である。やや熱目の湯が全身にしみわたり、音を立てるように、旅の疲れが抜けて行く。