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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

また、幼稚園の遊戯が、頭に浮かんだ。ゼンマイ仕掛のようでもある。市会でも、採決のときには、自分たちも、よく、これと同じことをやるのだが、傍聴席から見ると、やはり、そんな風に見えるのだろうかと、顔の赤らむ思いがした。

「開票せんでもわかっちょるよ」

友田喜造が、せせら笑う口調でいう。

結果は、民政党の勝利に定まっているというのであろう。はたして、総投票数四四二票のうち、二六八票で、藤沢幾之輔当選、議長第一候補となる。第二候補は、過半数に達しないので、やりなおし。また、同じょうなグルグル舞いの堂々めぐり。これも、民政党の西村丹治郎当選、第三候補も、民政党。

「副議長も、民政党のもんたい」

喋舌るのは、友田喜造一人である。誰も答える者はない。

(これが、政治というものじゃろうか?)

金五郎は退屈し、馬鹿々々しくなって来た。しかし、金五郎は、自分の無学と無知とを、深く自覚していたので、口に出してはいわなかった。君に政治なんかわかるものか、といわれるに定まっている。なお、さらに、なにかを知ろうと努めた。

「もしもし」

と、また、声をかけられた。先刻の守衛である。

「なんですか?」