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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
二度も落ちたんじゃし、原田君のような快男児が市会に出たら、市会が活気を呈して、浄化されるこた、識者にはわかっとることじゃ。今度は間違いなし。わたしが請けあう」
「あたしたちも、原田先生に応援するわ」
「ほんとかい?」
「あたしたちには票はないけんど、そこはそれ、女の力も馬鹿にはなりませんよ」
「それ聞いて、安心した。もう上ったような気持になったわい。……光三君、一杯、行こう」
原田雲井はコップをさして、ビールをついだ。光三はぐっと飲み干して、かえした。
料理が、運ばれて来た。
「ほう、大けなビフテキじゃなあ」
原田が、頓狂な声を立てた。
「原田君の身体には、恰度、似おうとるじゃないか。昔、「突貫亭」という西洋料理屋で、おいしいビフテキを食わせたが、ここのが、もっと、うまいよ。店主の小田亀造ちゅうのは、アメリカの駆逐艦のコックをしとったとかいう面白い男でな、註文してあるけ、後で来るじゃろが、チャップリンとか、チャプスイとかいうような、珍しい料理も作る。アラスカに金鉱掘りに行って雪に埋められて、一ぺんは凍死しとったげな。それで、今でも、跛引いちょるが、……」
「玉井さん、その小田ちゅうのは、何党な?」