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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

……ところで、明後日の演説会に、勝則君に出て貰おうと思うちょるが、どげんじゃろか?」

金五郎は、ちらと、眼を伏せたが、

「出るように、いおう。あんたに極力応援することは、前からあれも承知しとったけ」

「友人の中村勉君の参謀長で、やっとるごたるなあ」

「うん、まだ、あれは満二十五歳にならんけ、選挙権はない。中村君が二十七で、候補者中、最年少、栃木村太郎さんをロボットの選挙事務長にして、勝則が采配振っとるらしい。……じゃが、……実は、あの子、ほんとうは、すぐにでも、東京に行きたい気持のようにあるが、……」

「そら、また、どうして?」

「あんたから、いつか聞いた光丸のことでなあ」

「あきらめて?……」

「はっきりとはわからんけんど、そんな気持になったとじゃないか知らん? 藤本組との祝言を秋にするというのは、もうすこし考えさせてくれ、といいよったが、ともかく、光丸と別れる決心をしたらしゅう思われる。それで、やっぱり、さびしいとじゃろうなあ。マンに、しばらく、東京に遊びに行かせてくれ、ちゅうて、頼んだそうな。東京には、早稲田時代の友達がたくさん居るし、気を紛らかすつもりじゃろ。