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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
成敗は後にする」
勝則は、立ちあがった。部屋を出て行った。二階へ上る力のない足音が聞えた。
金五郎とマンとは、顔を見あわせた。どちらからともなく、プッと、ふきだした。
「ワッハッハッハッ、……」
「アッハッハハハ……」
ゼンマイの切れるまでは止まらぬ笑い機械のように、腹をかかえて、笑いころげた。
二人の眼には、どちらにも、キラキラと光るものが浮かんでいて、とめどなく、頬を伝わり流れた。
笑いやむと、涙をふきながら、
「どうするか?」
急に、真顔になって、金五郎がいった。
「お父さんの考えは?」
「おれは、もう、仕方があるまいと思うちょる。光丸と別れる気で旅に出とる者を、わざわざ呼び返して、おれたちがくっつけたようなもんじゃないか。ここまで来て、どうなるもんか」
「そうね、どうで、こうなることやったのかも知れんわ。男と女とのこと、むずかしいのね」
「むずかしいような、やさしいようなことたい。どうせ、どっかに無理が行くんじゃ。実は、おれは、この間から、勝則のことじゃあ、妙に気持がチグハグで、弱っとった。かえって、なんか、さっぱりしたよ」
「あたしも」
「それでも、やっぱり、腹が立ってたまらんけ、頬べんた、一つ、打ちまわしてやったら、気がすんだ。