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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
辻木家からは、幾度となく、玉井家に、光丸の行方について、厳重な問いあわせがあった、が、
「こちらも、勝則が行方不明になって、探しとる始末で、……」
そういわれて、むなしく引きあげた。
勝則と光丸との奇妙な駈け落ちが、金五郎夫婦の許可によって行われていることは、辻木家では気づく筈もなかった。無論、光三も加担している期成同盟の存在など、まったく、知らない。辻木家では、警察に、保護願いを出して、捜索方を依頼したようだった。
また、数日が過ぎた。
金五郎は、八幡の藤本組を訪れた。藤本喜八郎の前に、率直に、事情を述べて、手をついた。頭を下げた。
「とんでもないことが出来ました。どんなにして、お詫びしたらよろしいでしょうか。存分に、お叱り下さい」
腕組みしていた藤本は、畳についている金五郎の手を取って、上げさせた。
「玉井さん、若い者には勝てませんよ。実は、わたしの方から、あなたのところへ、お詫びに参上しよう、と考えて居ったところでした」
「どういうわけで?……」
「いやあ、どうも、恥かしいこッてす。わが子のことながら、不行届、まるで、親というものは盲目同然ですなあ。