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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
私は、朝日新聞に三回(『花と兵隊』『美しき地図』『陸軍』)、毎日新聞に二回(『海と兵隊』『赤道祭』)書き、読売新聞にははじめてであったが、この日本の三大新聞には、それぞれ顕著な特色があることを感じた。
読売はすこぶる庶民的な新聞で、その意味では、『花と龍』は打ってつけの題材であったかも知れない。いつかは書きたいと思っていた父母の伝なので、私も全力をぶっつけるようにして書きすすめて行ったが、読者からの反響も強く、たくさんの手紙をもらった。このため、はじめ半年位という約束で書きだしたものが次第に伸びて、一年近くになったのである。それでも、なお、書きたいことが多かったが、あまり長談義になるので、やむなく、大正時代を端折って、明治篇、昭和篇の二部にしてしまった。いつか、大正篇も書きたい意図を持っている。
この作品の登場人物は、すべて実名になっている。それだけに書きにくい点があった。無論、実録でも伝記小説でもなく、多分に小説としてのフィクションが織りこまれているけれども、骨組は事実にもとづいているので、方々にさしさわりが出来た。よく書かれているモデルは黙っているが、敵方として登場する人物たちはあまりきげんがよくないわけである。