轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
浅草の金竜館で後の氏原芳家などと一緒にテナーの真似事をしていたが、安南の行政駐在官に栄転した父に従ってその地へ行き、間もなくこの小説中に「カーマス・ショオ」の団長となって登場してくる、これも日仏混血のルイ・バロンセリという男と雲南、貴州を股にかけて何か怪しい商売をしているという評判だったが、昨年の夏ごろホヴァスの東京支局長となってひょッくり戻って来た。
陽の目もささぬ酒場の内部を透して見ると、天井からは千切れたテープが蜘蛛の巣のように垂れ下り、椅子は倒れテーブルは俯向いてさながら激戦の跡のよう。ハッチソンは足踏みもならぬ反吐や空瓶を器用に飛び越えながら、薄暗い片隅にぐったりとたぐまっている四人の方へ近づくと、引擦って来た椅子に腰をおろしニヤニヤ笑いながら一座を見廻す。年の頃は卅七八、細い口髯も板につき、面ざしの極めて美しいのに眼付はひどく冷酷で、どう見ても西洋の色悪といったところ。襟すじから耳のうしろへかけた辺りがすっきりと垢抜けていて男でさえも惚々するくらい。隙のない粋な身のこなしもいっそ凄味に見えるのである。
ハッチソンは腿の上に右の足首を引き乗せると、ひどくいなせな口調で、