轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まと
魔都
久生 十蘭
「新青年」博文館、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 页
先ほどからキョトキョトと博士の様子を眺めていた例の赭熊の娘は、この時忌々しそうに傍らの花を振返り、
「ちょっと、花ちゃん。何さ、いまの爺は。何だか訳のわからぬことばかりいっていたっけが、じゃア鶴の唱歌というのはもうこれでお終いなんだろうか。……おお、いやな。三円もふん奪って置きながら、水の中でお屁をしたような音を聞かせてサ、これでお終いたアあンまり馬鹿にしているよ。ああ、詰らない詰らない、こんなことなら歌舞伎へでも行くんだった。弁松を奢ったってまだおつりが来らアね。忌々しいっちゃないねえ」
花というのはすでに御承知の、有明荘の崖下なる素人屋の二階に住む可愛らしい縫子。ズケズケ言う赭熊の肱に手を掛け、さも済まなそうに、
「あら、勘忍して頂戴な。でも、あんまり評判が高いから」
赭熊は白眼を見せ、
「詫ってくれといってやしない。で、どうするのさ。約束通り今日は一日附合ってくれるんだろうね」
花はションボリと首を垂れ、
「そういう約束だったけど、今日はどうにも気分が悪くて。……勘忍ねえ」
「まア、勝手な娘。ひとにばかり附合わして置いてさ」
といったものの流石に心配になったものか、花の顔を覗き込むようにし、