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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

そして、二人の病人には、とくべつにたくさんわけてやった。これも、島のたのしいひとときである。

「ちょっとの時間だ。大いそぎで、だれかかわって、見はり当番にも、ごちそうしてやれ」

私の一言で、見はり番にはかわりの者がのぼって、やぐらから当番の川口もよびおろされて、大喜びで草ブドウをほおばっていた。

運転士が、るす中のことについて報告したが、おしまいに、

「それから、病人のことですが、おるす中に、よくいってきかせたのです。みんなが心配しているのだから、一日もはやく、アザラシの薬をのんで、元気になってくれ。おまえたち二人が、アザラシの胆をのんだら、みんなが、どんなに安心して喜ぶことだろう。二人のためばかりではない、みんなのためだからな、と申しますと、よくわかりました、早くのんでよくなりましょう、と、すっかり承知しました」

と、つけくわえた。

「そうか、それはいい。では、さっそく実行しよう。やがて昼飯になるだろうが、それまでに、やってしまおう」

そこで急に、アザラシの胆とり役の、くじびきがはじまった。見はり当番の川口は、「鼻じろ」から胆をとるくじびき、ときいて、さっと顔色をかえたが、そのまま走って、やぐらにのぼって行った。