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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

茶話会

茶話会

われら十六人にとって、雨はありがたいものであった。天からたくさんの蒸溜水を、すなわち命の水を配給してくれるからである。

雨の降る日は、みんな、いっそうほがらかで、にこにこしていた。それは、雨水のためばかりではない。ほかにわけがあった。

雨の日は、午後、小屋の中で、茶話会をすることもあったからだ。茶話会の日には、めったにこしらえないお米のおもゆを雨水でつくって、それを、かんづめのあき缶や、タカセ貝に入れて、おやつに出すのだ。これは、島いちばんのどちそうで、みんなは、

「ああ、うまい。おもゆというものは、こんなに、うまいものだったのか――」

「舌がとけてしまうほど、おいしい」

などと、思わずいっては、舌つづみをうつ。そして、雨の日の茶話会は、いつでも楽しく、にぎやかで、余興のかくしげいには、感心したり、おなかの皮をよじって大笑いをしたりして、笑声と拍手の音は、太平洋の空気をふるわせ、波にひびいた。そして、アザラシ半島のアザラシどもをおどろかした。アザラシどもは、人間の友だちのさわぎにあわせて、そろってほえた。

茶話会の話は、青年たちのためになることばかりで、まことにわれらの無人島に、ふさわしいものであった。