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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

見はりやぐら

夜の見はり当番ちゅうだけ、これを腹にまいておくといい」

私は、帆布と細い索を、さし出した。

「この老人を、それほどまでに……ありがたいことです」

かれの目には、細い月の光をうけて、星のように、ちらっとつゆが光った。

見はりやぐら

翌朝、しらしらあけであった。夜中から、小笠原と交代して、見はり当番をしていた水夫長が、天幕に飛びこんできた。

「船長。たいへんな流木です」

浜に、たくさんの材木が、流れついたというのだ。

「みんなを起せ」

私がいうと、水夫長は、大声でどなった。

「総員、流木をひろえ」

「それ」

一同は、飛び起きて、浜べに走った。なるほど、いちめんの流木だ。大小の丸太、角材、板、空樽などが、夜のまに流れついていた。これは、われらの龍睡丸が、くだけて、ばらばらになって、乗りあげた暗礁から、流されてきたのだ。みんな、かなしい、なつかしい気もちになって、小さな板きれまで、すっかりひろいあつめた。

なかに、太い円材が、二本あった。龍睡丸の帆桁である。これはいいものが流れついたと、一同はよろこんだ。これと、三角筏の一骨にした円材と、三本の長い円材を、すぐ砂山に運んで、砂山のうえに、見はりやぐらを立てる作業をはじめた。