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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

心の土台

それとも、ほかに、いいちえがあるか。あったら、えんりょなくいってくれ」

まっ先に水夫長がいった。

「運転士に、おまかせします」

一同は、うなずいた。

「それでは、漁業長、魚とかめをたのみます」

運転士がいうと、小笠原は、漁業長の顔を見て、にっこり笑って、例のくせで腕をたたいた。

「この老人が、みんなのおなかは、すかせないよ」

たのもしいことばだ。

荷物のせいとん当番は、荷物の整理、衣服、毛布、索、帆布などを日にほし、筏にした円材や板をかたづけたり、伝馬船をよく洗って、浜にひきあげるなど、それぞれに、みんな一日中、いそがしく働いた。

心の土台

きれいな砂の上に、みんなは、よく眠っていた。五月二十二日、無人島生活二日めの、朝早くであった。

私は、しずかに起きあがった。そして、運転士と漁業長と、水夫長の三人を、そっと起した。四人は足音をしのばせて、天幕の外に出た。

あかつきの空には、星がきらめき、島も海も、まだ暗い。私は、すぐに海にはいって、海水をあびて、身をきよめた。つれだった三人も、無言で、私のするとおりに海水をあびた。

水浴がすむと、四人は深呼吸をして、西からすこし北の日本の方を向いて、神様をおがんだ。