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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁
「ふうん」
「ほほう」
と、ときどき、声をたてたり、ためいきをついたりした。病人とアザラシの胆とりの話をきいて、なみだぐむ人もあった。
的矢丸の水夫長が、
「本船には、いい薬がありますよ、なにしろ役所からの命令船ですからね。『熊の胆』もありますよ。安心してください。本船は小さいが、それこそ、大船に乗ったつもりでね」
と、しんせつにいってくれた。
「日本もえらくなったものだ。あたりまえの船がくるところじゃあない、こんな、太平洋のまんなかの無人島へ、日本船が二隻も集まったのだ。そして、一隻は難破、一隻はその助け船。これはまたふしぎなまわりあわせになったものだ」
と、つくづく感心している者もあった。
「ご飯を、ごちそうしよう」
と、上甲板の日よけ天幕の下に、とくべつにテーブルと椅子とをならべて、五人の席ができた。五人は長い間見なかった、白い、かたいご飯を、ごちそうになった。しかし、私はどうしても、それがのどをとおらなかった。
「ああよかった。十六人は、助かった――」
ただそればかりで、胸がいっぱいだ。お茶をのんでも、味がわからない。まして、ならべてある心づくしのお皿に、何があるのか……