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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

また、ざぶり、一のみに海の中へのみこんだら、それっきりである。

そこでまず、この大波をしずめるために、油を流すことにした。

大しけのときなど、よく船から油を流す。それは、油が海面にひろがると、気ちがいのようにさわぎたっていた波も、おとなしくすがたをかえるのである。

荒れくるう波を見ていると、大きな馬が、何万頭となくならんで、まっ白いたてがみをふりみだし、はてもなくつづいて、くるい走るようだ。それが油を流すと、白いたてがみをかくし、ただ、上下に動く大波となるのである。昔から世界各国の船の人は、油が波の勢いをよわめることを、よく知っている。

これは、大しけで、めちゃめちゃにもてあそばれていた捕鯨船が、もうだめだ、と、あきらめかけた時、急に、船の動き方がゆるやかになり、波がうちこんでこなくなったので、ふしぎに思ってあたりを見ると、死んだ鯨が、ちかくに流れていて、その鯨から流れだした油で、波が静かになっているのがわかったことから、油が波をしずめるのに、ききめのあるのを知るようになったのだ。しかも油は、ほんのわずかでいいのだ。たった一てきの油でさえ、二メートル平方の海面を、静かにする。