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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

たのみにしている指導者の、運転士と水夫長は、波にさらわれてしまった。もうわれわれは助からない。

船長の私も、決心した。もちろん、ほかの乗組員も、そう思ったにちがいない。だれも、ひとこともいわない。ずぶぬれになって、青い顔をしていた。

このまま、龍睡丸は、伝馬船と同じ運命になって、ここで死ぬのか。みんなは、おどりくるう白波を見つめて、だまっていた。

一秒、二秒、三秒。

「おっ」

「あっ」

「やっ」

とつぜん、二、三人が、おどろきの声をたてた。岩の方を指さし、口をもぐもぐさせている者もある。見れば、向こうの波の上に、一、二メートル頭を出している、ひらたい岩のねもとに、伝馬船が底を上にして流れついているではないか。

やっ。黒い頭が二つ、白い波のなかにうきだした。

しめたっ。二人は、岩の上へ、はいあがって行く。

ごうごうと鳴りひびく波の音で、どんな大声でも、百メートルもはなれていては、聞えはしないが、手まねと身ぶりで、二人ともぶじだ、伝馬船も大じょうぶだ、と、知らせているではないか。

「ばんざあい」

思わずほとばしる、よろこびのさけび。

「ああ、よかった――」

みんなは、ほっとして、顔を見合わせた。