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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁
三
といえば、第一指に、誰しも、但馬守宗矩を折るほどであった。
けれど、その但馬守でも、親の石舟斎の眼から見れば、
(あの癖が出ねばよいが)
とか、
(あの気ままで勤まろうか)
などと、昔ながらの子供に思えて、遠くから、明け暮れ取りこし苦労をしていることは、およそ剣聖と名人の父子も、凡愚と俗才の父子も、その煩悩さにおいては何のかわりもない。
殊に、石舟斎は、昨年あたりから病がちで、そろそろ天寿をさとると共に、よけいに、子をおもい、孫の将来についての念いが深くなって来たようであった。また、多年自分の側においた門下の四高足、出淵、庄田、村田なども、それぞれ越前家だの、榊原家だの、知己の大名へ推挙して、一家を立てさせ、この世の暇の心支度をしているかに見えた。
また、その四高足の中の一人、木村助九郎を国許から江戸へよこしたのも、助九郎のような世馴れた者が但馬守のそばにいれば、何かと役に立つであろうという、石舟斎の親心からであった。
以上で、ざっと、柳生家のここ両三年の消息は伝えたと思うが、そうした江戸柳生の新邸へ――否、もっと家庭的に、但馬守の許には、ひとりの女性と、ひとりの甥とが、どっちも、懸り人として身を寄せていたのである。