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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

われらは、西だと思う方へ、海流にさからって櫓を漕いだ。二時間も漕いだ。龍睡丸が難破した岩のところを通りこして、ずんずん進んだ。それから先ははてもない、ただ水と空。伝馬船は、強いむかい潮を正面から受けて、およぐように進んで行った。だが、島はさっぱり見えない。

龍睡丸が難破した岩から、三時間ぐらいも漕いだ。太陽は頭の上にある。正午だ。それからまた二時間。午後二時ごろだ、しかし、まだ島は見えない。

みんな前の方の水平線を見つめている。からだじゅうの神経が、目ばかりに集まったように、いっしんに見ている。

「もう見えそうなものだ」

などと、めめしいことはだれもいわない。きっと島が見つかるような顔をして、みんなへいきでいる。なんというたのもしい人たちだろう。私は、みんなをなぐさめるつもりでいった。

「おそくなったら、今夜は見つけた島へとまって、明日帰ろう」

すると漁業長が、

「まだ、島は見えないのですから、夜通し漕がなければならないかも知れません」

水夫の一人が、

「明日の朝までには、島は見えるでしょう」

この男たちは、今夜一晩中、西へ漕ぐつもりらしい。まったくの海の男だ。