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むじんとうにいきるじゅうろくにん

無人島に生きる十六人

須川 邦彦

線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁

青空文庫

のふかが、いくらでもつれた。

こうして、はてもない空と水ばかりを見て、帆走をつづけ、二月もすぎて、三月十五日となった。この日の午後二時、西北の水平線に、一筋たちのぼる黒煙をみとめた。

汽船だ。

万国信号旗を用意して、汽船の近づくのをまっていた。それには、わけがあるのだ。

機械の力で走る汽船は、風や海流にかまわず、目的の方向に一直線に走れる。速力もわかっている。それだから、自分の船のいるところは、大洋のまん中でも、どこかわかっている。しかし帆船では、風を働かせて船を進めるのだから、風のふく方向や、風の強さ、それから海流などに、じゃまをされて、汽船のようには進めない。

それで、大海原で、帆船が汽船に出あうと、

「ここはどこですか」

と聞くのだ。これは、世界の海の人のならわしである。

水平線の一筋の煙は、太く濃くなって、やがて、帆柱、煙突、船体が、だんだんに水平線からうきだしてきて、近くなった。私たちは、大きな日の丸の旗を、船尾にあげた。船は小さくとも、日本の船だ。十六人の乗組員は、日本国民を代表しているのだ。むこうの汽船では、アメリカの旗をあげた。

午後三時四十分、両船の距離は八百メートルとなった。