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むじんとうにいきるじゅうろくにん
無人島に生きる十六人
須川 邦彦
線上閱讀須川 邦彦《無人島に生きる十六人(むじんとうにいきるじゅうろくにん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 100,616 字 · 201 頁
十九年めに、漢の国から匈奴の国へ使者がきて、蘇武をかえせと申しこんだ。すると匈奴では、蘇武はとっくの昔に死んでしまった、といったが、漢ではスパイの通知で、蘇武の生きていることを知っていたから、たぶんこんなことをいうだろう、そうしたらこういってやろうと、考えていた計画のとおりに、
『そんなことはない。蘇武は生きている。つい先日、私の方の皇帝が、狩に出て、空飛ぶ雁を矢を放って射落したら、雁の足に、白い布に墨で書いたものがしばりつけてあった。ほどいてひろげてみたら、蘇武からの手紙で、私は北のあれ野原に生きている、助けてください、と書いてあった。うそをいわないで、蘇武をかえしてください』
と使者はいった。この計略にうまく引っかかった匈奴は、一言もなく、十九年めに蘇武をかえした。
このことがあってから、手紙のことを、『雁の使』というようになったのです」
聞く人も話す人も、たったいま、銅の札に、「助けてくれ」と釘で書いて、海鳥の首につけて、飛ばせたばかりだ。みんなは、蘇武の話に深く感動した。水夫長は、すっかり感心して、
「生徒さん、ありがとう。よくわかった。蘇武という人は十九年もがんばったのだなあ。