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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《宮本武蔵(五)(みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 508,883 字 · 1017 頁

青空文庫

「ほんとだ、ほんとでなくて、どうするものか」

噛んだままの唇から、慄えを洩らすように、又八は呟いた。

茫と遠くを見ている眸を奪いかえすように、武蔵はぐっと彼の手を引っ張って、

「おぬしの行く道は、自然に拓けてきた。もう、朱実の落ちて行った方角がおぬしの道じゃないぞ。おぬしはすぐ、これから足に草鞋をつけて、坂本と大津の間へ降りて行ったおふくろを捜し廻れ。――あのおふくろを貴様は見失ってはならないぞ。さ、直ぐに行け」

と、眼につくそこらの草鞋や脚絆など、彼の旅具を取って、軒端の床几まで持ち出してやる。

さらにまた、

「金はあるか、路銀は。……少ないがこれを持って行ったらどうだ。おぬしが江戸表へ出て志を立てる気なら、おれも一先ず江戸まで共に行こう。また、おぬしのおふくろ殿には、改めておれも心から話したいこともある。おれはこの牛を曳いて、瀬田の唐橋に行っておるから、きっと後から連れ立って来いよ。――いいか、おばばの手を曳いて来いよ」

道聴途説

一

武蔵は後に残って、黄昏れを待っていた、いや使いの戻りを待つのだった。

午過ぎの小半日を、さて退屈に思う。日は長いし、飴のように体は伸びを欲する。